2009年07月26日

命名 ムキリョクテイオー

私が乗っていた馬はたてがみに白髪が混じっていたし、平地でも足を踏み外して歩いていた事を考えると、
確実に老齢の部類に入るお馬さんだった。

老齢ゆえに足腰も大分弱っているのか?
それとも働くことに疲れたのか??

省ける手間は全て省きたい馬だった・・・・ように感じた。

私はちゃんとした乗馬は初めてだったけど、一応馬に乗る前にネパール人のポーターさんから乗馬をする時のアドバイスは受けていた。

・馬上で騒がない。
・下り坂の時は後傾姿勢、上り坂の時は前傾姿勢になること。


初日はまだそんなに大変な道は行かないよ。と聞いていたので、
私は後日に備え、何となく前傾姿勢と後傾姿勢の練習を開始。

ちょっと下った感じだから反ってみよう。
ちょっと上った感じだから前傾してみよう・・・。

しばらく繰り返しているとある変化が。

私が景色に見とれて姿勢を変えずにいると、
あれ?
お馬さんも止まっている。

しかも前足をささやかな道の上り口にかけたまま。。。
私の姿勢待ち・・・になってるの?

も、もしや?
半信半疑ではあったけど、一応私は前傾姿勢をとってみた。

すると、お馬さんは“やれやれ。”と言った風にどっこいしょと道を上る。
そんな坂じゃないのに??

しかし、その後も坂・・・というか凹凸?くらいの上り下りにも私の姿勢待ち。

一体、どんだけ労力省きたいの!?
他の人が乗ってるお馬さんは姿勢の有無に関わらずガンガン行ってるよ?
今日、初日だよ??

でも、私の代わりに歩いてくれてるんだもんね。
前傾後傾くらいお安い御用か。。。

その後もお馬さんは省エネな歩行を続け、
私はそんなお馬さんの仕事に対する無気力具合に
自然と心の中でお馬さんを“ムキリョクテイオー”の名前で呼び始めていたのであった。